今から約10年前に、私たちは結婚し、
すぐに、埼玉県内の新築分譲マンションを
35年ローンで購入しました。
妻はずっと木造平屋の家に住んでいたこともあり、
「マンション」に憧れがあったのです。
新築のマンションはとてもきれいで、
静かで、窓を閉めていれば外の音が
聞こえることはほとんどありません。
特に不満を覚えることもなく、
そもそも永住するつもりで、
私たちはここを買いました。
全90戸ほどの11階建て。駅徒歩12分の物件です。
これを買うまでに、私たちはよく、
モデルルームを見に行っていました。
お金もかからず、クオカードや図書券などの
お土産までもらえて、モデルルームを見ることは、
私たちにとって日常のデートであり、趣味でした。
そんなこともあって、マンションを購入してからも、
近所で新築のマンションが建つと知れば
内覧会に行ってみたり、駅前にモデルルームが
できたとなればさっそく足を運んでみたり。
一軒家にはなんの興味もなく、
ビバ!マンションライフです。ビバビバ。
そんな中、私たちが買ったマンションを
建てた不動産業者が、大規模な戸建ての発売に
乗り出すとチラシがやってきました。
埼玉県の中部エリアで100戸規模の戸建てと、
同じ敷地内にマンションも建てるというものです。
モデルルームマニアの私たちは、
いそいそと出かけました。
そこで初めて、私たちは新築戸建ての中身を
見ることとなったのです。
広―い敷地にきれいなアスファルトの道が
碁盤の目のように走り、
区画がきれいに分けられています。
私たちが見に行った時点で、
完成している建物は1割程度。その中の1軒を、
見学用に開放しているとのことでした。
案内してくれた営業のお兄さんも、
私たちがいわば自社の客であることを知り、
いろいろな話をざっくばらんにしてくれました。
「この家はオプションだらけで、
内装に1000万円くらいかかっているんですよ」
シャンデリアや無垢の床、キッチンタイルなど、
とにかく豪華な内装でしたが、
それはいわば、夜の商売のお姉さんが
ばっちり化粧をしたような状態であることは、
少しでも家に興味がある人ならば知っています。
「すっぴんが見てみたい」
そういうと、お兄さんは
別の完成した建物を開けてくれ、
中を見せてくれました。
想像通りの、ごくごく普通の建売住宅。
そして、シャッターを閉めても、
外を歩く人の声が聞こえてきます。
やはり防音の点で「マンションはいいなあ」という
認識を新たにしただけでした。
ところが。
販売用の事務所でアイスコーヒーを飲んでいると、
営業のお兄さんは言いました。
「今は旦那さんも元気で
車にも乗っていますけど、
いつかは自転車にも
乗れなくなる日がやってきます。
そんな時、歩いていける距離に
大きなお店があると便利ですよ」
大規模な住宅街ができることもあって、
その敷地のすぐ隣には何でもそろった
ショッピングモールがオープンしていました。
営業のお兄さんは続けます。
「マンションの場合、ローンを払い終わってからも
管理費と修繕積立がずっと続きますが、
戸建てならばそれはありません。
また上物を立て替えるにしても、
お子様に土地だけは残してあげられる
メリットがありますよ」
それまで、今住んでいるマンションを
出ることなど考えてもいませんでしたが、
お兄さんの言葉に、心が動きました。
セールストークであることは重々分かっていても、
それは正論だったからです。
ビバ!マンションライフの日々に、
方向転換の風が吹き始めました。
ストーリーは、上にあります、その2に続きます。
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