我が家は注文住宅なので、家のあちこちに
「造り付け」の家具や棚が点在しています。
例えば、洗面所のこの棚。
はたまた、リビングの一角に設けた
ワークスペースの、このデスク&棚など。
これらは家を建てる際、内装を行う「木工事」の
段階で、大工さんが設置したモノです。
もちろん、大工さんがその場のひらめきによって
つけたのではなく、図面通りに仕上げた設備。
これらと同じようにして、
ベッドと机が一体になった子ども部屋用の家具、
一般的には「システムベッド」あるいは
「ロフトベッド」と呼ばれるものも
設置することができます。
当然、部屋のサイズにピッタリ合ったものを
作ることができます。
我が家の子ども部屋にある、これ。
間取り図でいうと、こんな感じで、
4.8帖と、やや狭い部屋の3分の1を占めていますが
圧迫感もなく、納まっています。
話は変わって、この家を建てる前のこと。
ヘーベルハウスと契約した私たち夫婦は、
週末ごとに、モデルハウスに行っては、
担当の営業マンと、間取りについての
打ち合わせを重ねていました。
その話し合いが行われていたのが、この部屋。
あーでもないこーでもないと、
何度も間取り図を書き換える作業を、
ここで行っていたわけです。
その間、息子はよくここでくつろいでいました。
時は過ぎ、新居が完成すると、我が家は
ヘーベルハウスが主催するバス見学会の
「新入居宅」の視察先として、
ひんぱんに使ってもらうようになりました。
※ほぼ月イチで、もうすぐ40回になります。
大型バスに乗って20~30人がやってくる、この
見学会とはまた別に、営業マンが個別にお客様を
我が家へと案内することも多々あります。
この個別見学もすでに20回を超えていますし、
「我が家を見た方が契約に至った」という話も、
何度も聞きました。
もしも、見学会を一度受け入れるたびに
ハンコをひとつ押してもらえる
「見学会スタンプカード」があったら、
カードはきっと、もう満タンです。
そんなのないけど。
そんなある日、この家づくりを二人三脚で進めてきた
我々の担当営業マンKさんから電話が。
「打ち合わせでよく来ていただいた
あのモデルハウスですが、
築10年を過ぎて閉鎖することになりました」
建て替えではなく、
閉鎖。
その住宅展示場から、
ヘーベルハウスが撤退するということです。
思えば、私たち夫婦がラム君に誘われて、
あのモデルハウスに最初に足を踏み入れたことから、
家づくり計画の全てが始まりました。
その思い出の家がなくなると聞き、
一抹の寂しさを覚えながら、
最後にもう一度この目に焼き付け、
写真もたくさん撮っておこうと、
私たち家族は、とある週末に足を運んだのです。
↑こちらが、今はなき志木展示場のモデルハウス
すでにKさんは異動となっており、
その展示場にはまた別の営業マンがいました。
ふと気になって、
「この家にある家具はどうするんですか?」
そう尋ねると、その人は答えました。
「このタイミングで契約された方に差し上げたり、
街角ヘーベルに流用したりします」
街角ヘーベルとは、 住宅展示場ではなく、
後に販売することを前提に、街なかに建てる
期間限定モデルハウスのこと。
基本的に、モデルハウスに置いてあるのは
高級な家具ばかりです。
「なるほど、捨てるわけじゃないのね、そりゃそうだ」
などと思っていると、そこには、打ち合わせの時に
さんざん見慣れた巨大なシステムベッドが。
「これの行き先は決まっているのですか?」
と尋ねると「まだ」とのことでした。
「下さい!」
…とお願いした結果、後日連絡が。
見学会でのこれまでの貢献が認められたのでしょう、
モデルハウスにあったシステムベッドを
いただけることとなったのです。
「見学会スタンプカード」が、もしかしたら、
ヘーベルハウスの側にあったのかもしれません。
「スタンプ60個で家具ひとつ」みたいな。
で、連絡をしてきた営業マンは言いました。
「ただし、ご自分で運搬してもらうことになりますが…」
即答です。
「全然OKです!
取りに行きます!」
指定された日、自分(夫)がそれを取りに行きました。
そのまま運び出すことはできませんから、
当然、バラして階下に降ろし車に積み込むわけです。
1~2時間で済むだろうと軽い気持ちで行ったのですが、
パーツごとに分解しようとしたところ、
ネジの類がまったく見当たりません。
裏側に回って、なんとか背面の板を外してみて
初めて気が付きました。
「造り付けの家具だこれ!」
裏に「右」とかって大工さんの手書きの
文字が入ってるじゃないの!
パーツだってこんな感じだし!
「どの家具メーカーのモノだろう」と思いながら
バラし始めたのですが、正解は、
大工さんが作った
でした。道理でやたら頑丈だし、ネジ穴だって
表からは一切見えないようになっているし、
電設だってこんなんだし。
素人のDIYの限界をはるかに超えるこいつを
半日かけてどうにか分解し、そして我が家へ運搬。
理解、分解、再構築。
やっていることは、ほとんど鋼の錬金術師です。
エドワード・エルリックか。
で、やってきたこいつのサイズが、奇跡的に
我が家の子ども部屋にぴったんこ。
左側の壁際はこんなんだし、
右の壁際だってこう。
極めつけはこれ。
巾木の分が入らなくて、
巾木を切除しました。
部屋があと1㎝狭かったら。
ベッドがあと5㎜大きかったら、
この向きでは入りませんでした。
そもそもこの部屋の幅は、
隣にあるウォークインクローゼットとの
広さのせめぎあいの結果、こうなったもの。
当初はもう少し狭くなるはずでした。
いろいろあってこの幅になった部屋に、
いろいろあってやってくることになった
ベッドが、奇跡的なぴったんこサイズ。
♪最初からこうなることが~決まっていたみたいに~
って、
Mr.Childrenの「しるし」が
頭の中で流れましたよ。
バス見学会でこの部屋に来た方は、みな尋ねます。
「これは造り付けですか?」
見学会の時間は短く、長々と説明する暇はないので、
「そのようなものです」
と答えていますが、真相はこれまでに説明した通り。
というわけで、
アクタスで買ったデスクマットも乗せて、
打ち合わせの時に憧れていたシステムベッドは、
すっかり我が家の一部となったのでした。
めっちゃシンプルなデザインなので、
10年以上前のものという古さは感じられません。
『頭文字D』でおなじみ、ハチロク乗りの秋山渉は、
ライバルである藤原拓海の父親が乗せ換えた
新しい4A-Gエンジンを見て言いました。
「どこから手に入れたんだよ、こんなお宝」
閉鎖するモデルハウスから
もらいました。
ありがとうございました。
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